VINTAGE ALARM
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VINTAGE ALARMOWNER'S NOTE / 05

WESTCLOXWATCHLARM

0石腕時計の劇的ビフォーアフター。

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WESTCLOX WATCHLARM OWNER'S NOTE
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0石腕時計の劇的ビフォーアフター。

石はいらない。

金属軸受けもいらない。

回転ベゼルも、余計な歯車列も省く。

それでも、アラームは載せる。

なんということでしょう。

アラーム量産の匠は、新たなパーツを極力増やさず、0石の腕時計にアラームを載せたのです。

簡易操作ガイド

  • ① 動力巻き上げ リューズ通常位置:時計/アラーム共用のゼンマイを巻き上げ
  • ② 時刻設定 リューズを引いて時刻設定
  • ③ アラーム時刻設定 2時位置プッシャー:押すたびにアラーム針が15分ずつ反時計回りに進む ※48プッシュで一周(12時間)
  • ④ アラーム ON/OFF 9時位置スライダー:上=ON/下=OFF ※ONでケース側に「ON」の表示が現れる

NOTE

Westcloxは、目覚まし時計を大量生産する一方で、W4のような0石の廉価腕時計も作っていた。

WatchlarmのW5では、2時位置のプッシャーでアラーム時刻を設定し、追加の歯車列と高価な回転ベゼルを省いた。

元Westclox社員Ellworth Danzは、W5にW4の部品が一部使われた可能性を挙げている。一方でDanzは、Watchlarmについて「製造が難しかった」とし、利益も出なかったと思うと振り返った。

SPEC

年代
1950年代
ケースサイズ
32.88mm(資料掲載個体)
Cal
Westclox W5
0石
振動
18,000振動/時
香箱
1香箱
手巻き
手巻き
音響
底部ベル式
特記事項
2時位置プッシャー式アラーム設定、9時位置ON/OFFスライダー、アラーム約10秒

実機鳴動

さらに詳しく

01目覚まし時計を何千万台も作った会社

Westcloxは、ただの廉価時計メーカーではなかった。

1950年代のWestcloxは、Big BenやBaby Benに代表される目覚まし時計を大規模に量産していたメーカーだった。1956年頃のLaSalle工場では4,000人を超える従業員を抱え、1日に約40,000個の時計類を生産していたとされる。同時期までにBig Benは4,000万台以上、Baby Benも2,800万台以上が作られていたという。4

つまりWatchlarmは、小さなメーカーが苦肉の策で作った廉価アラーム腕時計ではない。目覚まし時計を何千万台も量産してきた会社が、今度はその「鳴る時計」を腕時計サイズで成立させようとしたものだった。Westcloxの強みは高級時計的な仕上げではなく、少ない部品と加工で大量に、安定して製品を作ることにあった。4

一方でWestcloxは、W4のような0石の廉価腕時計も作っていた。WatchlarmのW5を見ると、この二つの流れ――大量生産された目覚まし時計と、徹底して簡素化された腕時計――が一つの製品に交わったように見える。だからW5の面白さは、単に「0石のアラーム腕時計」であることではない。量産を知り尽くしたメーカーが、どこまで構造を削りながら「鳴る腕時計」を成立させられるかを突き詰めたところにある。34

020石、金属軸受けなし

W5は0石のピンレバー式ムーブメントで、金属製の別体軸受けも持たない。各軸は地板と受けの穴の中で直接回転する。テンプは打ち抜き、ひげゼンマイは平ひげ、耐震装置も簡素なものだった。12

構造はフルプレート式で、通常のブリッジやテンプ受けの代わりに円形の受け板を重ねる。資料では、不要な切り欠きも極力避け、コストを抑えた構成として説明されている。1

それでも時刻表示とアラームを1つの香箱で動かし、約38時間の持続時間と約10秒のアラーム鳴動を成立させている。1

032時プッシャーが消したもの

アラーム時刻の設定は2時位置のプッシャーで行う。押すと小さなレバーが斜め歯のアラーム解除輪を直接動かし、アラーム針は15分ずつ反時計回りに進む。12

この方式によって、設定用の追加歯車列を持たず、高価な回転ベゼルも使わずにアラーム時刻を設定できた。1

9時位置にはアラームのON/OFFスライダーがあり、上へ動かすとON、下へ動かすとOFF。ONにするとケース側の刻印が見える。12

04製造は簡単ではなかった

元Westclox社員のEllworth Danzは、W5にはW4の部品が一部使われていた可能性を挙げている。3

その一方でDanzは、Watchlarmは製造が難しく、Westcloxがこの時計で利益を出せたとは思わない、と振り返っている。3

05ドイツ製ケースと音の構造

Beitlは、Westclox Alarmのケースと文字盤がドイツ製だったと記録している。掲載個体はクローム仕上げの真鍮ケースで、直径32.88mm、圧入式の裏蓋を持つ。2

Horlbeckは、わずかに膨らんだ裏蓋、中央のリベット、内側の小さなブリッジなど、Junghans Minivoxの底部構造との類似を指摘している。1

ただし、JunghansがW5のケースを直接製造した、あるいはW5を設計したと断定できる資料は確認できない。Horlbeckも、協力または供給元との近い関係の可能性として述べている。1

参考資料・出典
  1. REFERENCEMichael Philip Horlbeck, 『The Alarm Wristwatch』(Schiffer Publishing, 2007), pp.150, 198–199, 220–221(Westclox W5の仕様、操作、コスト削減構造、ケースと音響構造)
  2. REFERENCELeonhard Beitl, 『Alarm am Arm』(2009), pp.497–498, 628(Westclox Alarm / W5、0石、ケース径、操作、ドイツ製ケース・文字盤)
  3. REFERENCEEllworth Danz, Westclox Wristwatches(W5とW4部品の関係、製造難、採算に関する回想)
  4. REFERENCEClockHistory, Western Clock Company Chronology(1956年の従業員数、生産規模、Big Ben / Baby Ben累計生産数)