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VINTAGE ALARMOWNER'S NOTE / 01

PIERCEDUOFON

マナーモードの祖先!?

1950's通知のオーパーツ。

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PIERCE DUOFON OWNER'S NOTE
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マナーモードの祖先!?

1950's通知のオーパーツ。

リマインドの気遣いまで、ぜんぶ機械仕掛け。

簡易操作ガイド

  • ① 動力巻き上げ 3時位置リューズ:順回し=時計側/逆回し=アラーム側
  • ② 時刻設定 3時位置リューズを2段引き:順回し
  • ③ アラーム時刻設定 3時位置リューズを1段引き:順回し
  • ④ アラームボリューム設定 4時位置リューズを約1/4回転。順回し=Wecker(赤)/逆回し=Signal(白)
  • ⑤ アラーム ON/OFF 4時位置リューズ:引く=ON/押し込み=OFF

NOTE

音を出すか、控えめに知らせるかを場面で選ぶ感覚が広く浸透したのは、1980年代後半から1990年代にかけて、ポケベルや携帯電話の機能が普及してからだった。

Duofonはその流れとは別に、1950年代の腕時計の中で“通知の距離感”を機械化していた。

4時リューズで音を選び、6時下の小窓で声色を見せる。

アラーム腕時計なのに、未来の空気を先読みしすぎていた。

SPEC

年代
1960年代初頭
ケースサイズ
36mm
Cal
Pierce Cal.135
21石
振動
18,000振動/時
香箱
2香箱
手巻き
手巻き
音響
ゴング式
特記事項
WECKER / SIGNAL切替、6時位置下 赤/白表示窓

実機鳴動

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01Pierceとは

Pierceは1888年、Léon Leviとその兄弟によってスイス・ビエンヌで設立された。創業当初は外部からムーブメントを調達していたが、1930年代初頭には自社でムーブメントの開発・製造を行うようになった。4

自社製ムーブメントには13リーニュのクロノグラフCal.130/134があり、1950年代にはCorrectomaticを投入している。Correctomaticは、ケース側の2つのボタンで緩急針を動かし、時計の進み・遅れを調整する機構だった。4

Duofonに搭載されたCal.135もPierceが自社開発したムーブメントである。4

02Pierce Cal.135

なぜ赤/白で鳴り方が変わるのか

Duofonでは、4時位置のリューズ兼プッシャーを操作してWECKERとSIGNALを切り替える。選択された状態は、6時位置下の小窓に赤または白で表示される。1

WECKERでは、ハンマーがムーブメント外周に配置された音響体を打つことで音を発生させる。SIGNALでは音響体を機構から外し、通常のWECKERとは異なる控えめな通知へ切り替える。1955年のPierce技術資料では、この切り替えを4時位置の操作部を4分の1回転させて行うと説明されている。1

同資料では、アラーム腕時計の用途として「起床」と、決めた時刻を所有者に知らせることの二つを挙げている。会議や社交の場など、大きな音を周囲に聞かせる必要がない場合にはSIGNALを使用することが想定されていた。1

03Duofonのモデル変遷

1952年のプロトタイプとして記録されている個体は、35mmの金色ケースと圧入式のスチール裏蓋を備える。文字盤にはPierceのブランド表記がなく、掲載資料では販売を目的とした完成品ではなかった可能性が示されている。また、この個体については時刻機構とアラームを1つの香箱で駆動すると記載されている。2

一方、1955年のPierce技術資料では、完成型のムーブメントは時刻用とアラーム用に独立した2つの香箱を持つと記載されている。1952年プロトタイプに記録された1香箱仕様とは異なる。1

1956年の掲載個体は34mmのステンレスケースと圧入式裏蓋を備え、アラーム時刻を読むための専用スケールを持つ。同時期の別個体には、分目盛まで届く長いアラーム針を備えた仕様も記録されている。2

後期にはケース仕様も変化している。1962年の掲載個体は36mmのステンレスケースとねじ込み式裏蓋を備え、裏蓋は防水仕様とされる。このケースは、それ以前のPierce製アラーム腕時計とは大きく異なるものとして記録されている。また、この個体はCal.135を搭載したPierce最後のモデルとされている。2

掲載個体は、この後期型に分類される可能性がある。2

Duofonのケースについては文献間に記述差がある。一方では、各モデルは主に文字盤で区別され、ケースは共通しているように見えるとされる。別の資料では、34mm・圧入式裏蓋の個体と、36mm・ねじ込み式裏蓋の個体が明確に異なる仕様として掲載されている。24

04Gruen Duotoneとの関係

Pierce Cal.135はGruenにも供給された。34

GruenではPierce Cal.135をベースとするムーブメントをCal.920 SSとして採用し、Duo-Tone Precisionに搭載している。記録されている一例は33.1mmの金色ケースと圧入式スチール裏蓋を備え、ムーブメントにはGruenによる追加仕上げと署名が施されている。34

Duo-Toneでも、4時位置のリューズから二段階のアラームを切り替える構造が使われている。ムーブメントの基礎はPierce Cal.135で、GruenではCal.920 SSとして扱われた。34

参考資料・出典
  1. PRIMARY SOURCEPierce AG, Biel, “Die Wecker-Armbanduhr Duofon mit zwei Lautstärken” (30.8.1955), Leonhard Beitl『Alarm am Arm』(2009) pp.353–355収録
  2. REFERENCELeonhard Beitl, 『Alarm am Arm』(2009), pp.356–358(Pierce Duo Fonのモデル例・Cal.135)
  3. REFERENCELeonhard Beitl, 『Alarm am Arm』(2009), pp.198–199(Gruen Duo-Tone Precision / Cal.920 SS)
  4. REFERENCEMichael Philip Horlbeck, 『The Alarm Wristwatch』(Schiffer Publishing, 2007), pp.20, 130–131, 189–190, 218–221(Duofon / Pierce Cal.135 / 可変アラーム音量)